あまてらす予備軍
初谷むい

いんたーふぉん鳴らしたでしょう?あまてらす(あれは偏光性のまなざし)

インターフォンが鳴って、あなただってだれも言わなかったけれどでもにおいでわかった。あと目のちかちか。ドアを開ける前に笑顔をぐいとおしこめて、つまんない顔、してみせます、こうごきたい、だよ。



うんめいの病なんです 色つきのきみしゅつえんのゆめばかりみる



暈だって洪水だって嘘だっていいからきてよ頭さわって



約束のないままでした。星の名でしりとりをしたカーテンの中



そらみみは微かに溶けてきみのいうあの日とぼくのあの日は違う



おもいだせます。星の日で雨の日であなたが触れた箇所だけあつい



星だらけ拾って投げてそれでいい僕のほうなど見ずにあなたは



かなしみは子宮に満ちてきみの爪きみの温度で破って(欲しい)



虚言症かわすたび瞼の裏に溜まる毒素の如きほんとう



詰まらない恋をしていて桃の皮撫でれど撫でれど君が消えない



それが罠だったって違ったっていい呼吸を数えて朝を抱きたい



はつなつの絆創膏のようなひとあなたが天涯孤独ならいい



こんな目の色を忘れて微笑んだ あなたの傷がひかる午後4時



つめたくてあまい発作を待っている 遠い昨日の指先の色



飛び散ったちかちかたちを掃き溜めて丸めて戻したい、夏の卵



月の極 下がらぬ微熱と引力でゆっくり歩けばきみに会えるよ



ぬるい水呑むよな呼吸繰り返しわたしがいるのはさみしい場所だ




twitterで発表していた短歌です、溜まったのでまとめてみました。


短歌 あまてらす予備軍 Copyright 初谷むい 2014-08-11 00:22:17
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