とてもおなかがすいたので、
おおきく口をあけてみた、
すると小魚たちが、
つぎからつぎへと、
のみこまれていった、
ぼくはくじらだったから、
かなしいうたはうたえない、
☆
そんなにおおきな荷物をはこんだあとでは、
もうどこにもいけるような気はしなかったから、
食器のはいった段ボールにいっしょにつめこんだ、
赤貝とか、さんまの蒲焼きとか、そういう缶詰で、
簡単な食事をとって、それから、
踏切がおりて、電車がとおりすぎて、また踏切があがるくらいの、
みぢかい昼寝からさめる、なつのせなかがそこにある、
☆
なつのおわりに、
いくつかの昆虫を砂にうめて、
そのうえをぷらすちっくの、
汽船がとおりすぎる、
しんだひとのことをかんがえる、
あるいはくつぞこにはりついた、
砂のことをきにする、
やがておなかがすいたり、
まぶたがおもたくなったりするように、
緩慢におわっていくことの、
うつくしさ、