テレビしかみなかったひに、
mugi




とてもおなかがすいたので、

おおきく口をあけてみた、

すると小魚たちが、

つぎからつぎへと、

のみこまれていった、

ぼくはくじらだったから、

かなしいうたはうたえない、






そんなにおおきな荷物をはこんだあとでは、

もうどこにもいけるような気はしなかったから、

食器のはいった段ボールにいっしょにつめこんだ、

赤貝とか、さんまの蒲焼きとか、そういう缶詰で、

簡単な食事をとって、それから、

踏切がおりて、電車がとおりすぎて、また踏切があがるくらいの、

みぢかい昼寝からさめる、なつのせなかがそこにある、







なつのおわりに、

いくつかの昆虫を砂にうめて、

そのうえをぷらすちっくの、

汽船がとおりすぎる、

しんだひとのことをかんがえる、

あるいはくつぞこにはりついた、

砂のことをきにする、

やがておなかがすいたり、

まぶたがおもたくなったりするように、

緩慢におわっていくことの、

うつくしさ、













自由詩 テレビしかみなかったひに、 Copyright mugi 2014-08-09 21:24:34
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