つれ
砂木

会社の帰りに実家に寄り
母を乗せて 病院に行く
入院している父に会うため
一日中 林檎畑で働いた後
母は着替えて 私を待つ

七十歳を超えて 疲れただろうに
駐車場について 歩きながら
父の事 畑の事など話していたが
病院の夜間出入り口から廊下に出ると
いきなり小走りに かけだした

もう入院している部屋まで
エレベーターでいくしかないのに
走った所で そんなに速く着けないのに
あっけにとられる娘を残し 父のもとへ行く

ばあちゃんとしかいいようのない後ろ姿
あたふたと年寄りが走って転んだら
どうするのと思いながら 私も小走りになり

若い娘でもあるまいに 病院の廊下を
かけて 会いに行くのだ ただ 会いに


 








自由詩 つれ Copyright 砂木 2014-08-03 15:18:25
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