『脊髄』
あおい満月

耳朶が
せかいに
かたりかける。
おまえは、
やさしいか、
やさしくないか
いいえ、
わたしは
やわらかく
固いいきものです
ひらききった
ふところに
針をたくさん持っています
その針で
めにみえる
すべてのあなを突き刺し

血を舐めるのです
血は、
蜜の味がします
いつか貪った
玉蜀黍の先端より甘く
やわらかく
脊髄を撹拌するのです

指先を切った
声の彼方で
いくつもの血のざわめきがきこえる
ざわめきが渦になって
といかける
おまえはやさしいか、
やさしくないか
いいえ、わたしは。


自由詩 『脊髄』 Copyright あおい満月 2014-08-03 13:06:15
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