vibgyor七重奏
凍月




黄昏のような明け方、夜の今際
悲しみに暮れる夕焼けの如き早朝は
空の青と昇る陽の赤が
混ざり合い織り成す紫
また明日、と言って君に背を向けた
その明日が今日だ
染まる雲の柔らかい悲しみ、紫

ドアを開けて帰宅する
深く冷たい藍色の壁紙
不安の海は満潮となり
君が離れてゆく夢
身を波に沈め
心は闇に沈む
言い知れぬ不安から逃れる術はなく、藍色

見上げると空は
抜けるような青
空は良い、美しいから
僕は君に釣り合うだろうかと憂鬱になり
視線を落とし
影を見つめて影送り
君に別れを告げてから
僕の残像は霧散して
無価値なんだなと呟く憂鬱、青

君はきっと
僕より良い人と友達なんだろう
君はきっと、僕だけを愛さない
夏の木々
蝉の潜む重い重い緑
君の好きなものに
君と話せる全ての人に
僕は嫉妬する
僕は羨望する、特別を
君は僕を見てくれているけれど
この生い茂る葉より深い嫉妬が、緑

君が僕に気付くと
僕は慌てて目を逸らした
君が視界の切れ目で微笑んだ気がした
咲き誇る向日葵、僕は彼らみたいにはなれない
好きな人を直視する勇気も
話をする勇気も無い臆病者
ここで立ち止まったまま
僕はきっと前に進めない
自分でも分かってる
だけど僕は臆病者の、黄色

橙色の太陽の眼差しに目が眩む
記憶が飛ぶような立ち眩み
色んな後ろ向きの感情の中
それでも君を想いたい、我が儘
酸味の効いた恋が好きか
求め続けて求め続けて
それでも躊躇う僕
オレンジジュースを飲み干して
やっぱり好きだ、君の事
我が儘な、橙色

革命のように始まる
血の匂いはしないけれど赤い朝
地獄を連想させ
僕は鏡の中の人物に怒りを覚えた
何故僕はこんなにも揺れ動くのだろう
様々な色に心が塗り変わる
今朝は一番端にある
僕から僕に贈る怒り、赤



僕の中の
モノクロの空に虹が架かる
後ろ向きの虹が
怒る赤
我が儘な橙
臆病な黄色
嫉妬深い緑
憂鬱の青
不安の藍色
悲しい紫

虹の七重奏







自由詩 vibgyor七重奏 Copyright 凍月 2014-08-01 23:56:30
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