月を追って
凍月



夜の黒が
何時だって怖かった
だけど僕は知っている
夜空に浮かぶ月を

三日月は美しい
それはもうすぐ消えてしまうから
だから美しい
だから耐えられる

でも新月の夜は無理だ
存在するのに見えないなんて
そんなに悲しい事はない

月の見えない夜は空っぽだ
泣きたいくらいに何も無い
夜の帳が下りてきて
僕の心の目を塞ぐ

だから僕は夜空を見渡す
建物や木々の間から
この街の向こうまで

ああ、月光に包まれて僕は
ようやく生きてると思えるよ

あの控えめに輝く三日月を追って
この街の中をどこまでも行こう
寒空の下でも
熱帯夜でも構わない
月を見るまで、今日は帰らない





自由詩 月を追って Copyright 凍月 2014-07-31 22:29:30
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