その器に注がれるのは
オオカミ

いつだって私には、なにもなかった

くだらない事ばかり言って
悪態ついて
早起きもできない
素直じゃない
怒りはいつも自分宛て

どうせみんな燃えちまうんだって
そんな事ばかり考えて
悲しみに甘やかされて
だらだら生きてる

きれいな言葉で
きれいに飾っても
やっぱりあの人たちは灰になったまま
人間にはもどらないみたい

いまでもこんなに一緒にいるのに
ふとした瞬間、ぜんぜんいないの

大人になっても
私には、相変わらずなにもないよね

そんな事ないよ何だってあるよ
ってばーちゃんが笑って
あーちゃんはママの娘だからね
って声も聞いたことないけどママが言って
じーちゃんは話なんて聞いてない風に野球見てて
猫は縁側でねむってる


そうしてやっと、
やっとね
しあわせ
だけが私にはあるのだと
気付きます

充分に生きていける、感傷なのです
所詮


生きることの尊さを想いながら
日々を消費する矛盾のなかで
それなりに傷付くことができるのは
やっぱり、
私に与えられた
しあわせなのです


自由詩 その器に注がれるのは Copyright オオカミ 2014-07-29 23:46:17
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