人間の風景
凍月



切れかけの電灯

霧が靄となり街を融かして呑み込む光景

真っ直ぐだと思って
実は傾いている電柱
世界が傾いて見える

あの三日月は何故嗤う

階のボタンを押さないと
エレベーターは動かない
それは独りだから

遠くから微かに
風に乗ったかのように
救急車のサイレンが聞こえた

鍵が無いから開かない扉
鍵を忘れて開かない扉

通り抜け出来ないと気付いて
Uターンする車


書き留めないと
忘れるような
日常の光景は

まるで

人間みたいだ





自由詩 人間の風景 Copyright 凍月 2014-07-21 23:59:18
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