永遠の瞬間
opus

風がふっと吹き
さざめく草原
青々とした木々
空は青く
陽が満ちる

キラキラと光る湖から
象や兎が水を飲む
木々の間から
一角獣が現れて
水浴びをする

私と妻は
カラフルなシートを広げ
麦藁のバスケットに詰まった
サンドイッチを食べて
ただずんでいる
3歳の息子がスースーと
寝息を立て
妻の膝に頭をのせて寝ている
彼の右手は
私の人差し指を掴んでいる

目を閉じる
永遠にこの時が続くのなら

目を開く
そこは荒れ果てた大地
黒ずんだ空
灰が混じる空気
アバラの浮き出た
老若男女

遠くで火花が飛ぶ
我らが戦士と
悪魔が戦っている
頑張れ。
負けるな。
火柱があがり
飛んでくる
黒焦げの「何か」

瞬間、
歓声があがる
空が開ける
数年ぶりの青空
我らが戦士は勝ったのだ
涙が溢れ出る

それから
数千年が経ち
地上はビルが立ち並び、
電気が蔓延る
草花と人々の自由の間で
気分を鎮める妻と
現実主義者の夫
言葉が飛び
感情が沸き
破裂する
空気は刃の様に舞い
心臓が切り刻まれる
どうしてこうなった、
こんな結末は求めていない
今ならまだ間に合う
瞬間、
二人は目を合わせる
お互いの右手が差しだされ、
繋がり、
抱き合う

音楽的にいうと、
Aメロ
Bメロ
サビ
文章的にいうと、
起承転結
現実的にいうと、
良いこと
嫌なこと
あるいは、
それらを崩したもの
複雑にしたもの
希望のようなもの
絶望のようなもの
軽い刺激
強い刺激

一線は超えてはいけない、
一線を超えてみたい
倫理
道徳
法律
または、
世論

僕が笑い
君が泣く
彼が悩み
彼女が歌う
誰もが
どこかで
何かしている







自由詩 永遠の瞬間 Copyright opus 2014-07-20 19:37:07
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