とべない鳥
朧月

つばめのこはへびにたべられてしまった
もうすぐ
もうすぐとべるねと
にんげんが親鳥が見守る中
すきをねらったへびが
一羽のこらずたべてしまった

巣の中には
むしられた雛の羽が
あちらこちらにのびて
雛の希望のかたちを残している

へびはその家の守り神なんだよ
祖父の声を思い出す
家のルールそのものだった祖父のことを
だれよりも嫌いだった私は
へびもまた嫌いであった

雛は生きていればどこまでとんでゆけたのだろう
遠くの空をみあげながら
私は私の足元を
注意深く歩くしかなかった


自由詩 とべない鳥 Copyright 朧月 2014-07-16 08:47:56
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