痺れ
凍月




ベッドに投下された身体
嘘みたいに
悪くない気分
痙攣する筋肉を
抑えても
感覚が無いのは何故?
(焦点が定まらない、天井が歪む)
今日一日がフラッシュバック

痺れ
何も感じない
だけど確かにある
胸に触れる手
体温も判らない
底無しの闇
見えているのに
痺れ以外に
何も無い
錯覚

試しに腹を引っ掻いた
痛みはあった、だが痛みが軽い
こんなものだっただろうか?
以前はもっと
痛かった気がする

(焦点が定まらない、天井が歪む)
腹には赤い爪の痕
(呼吸が荒くなる、体温の急激な上下)
吐き気を覚え
音を立てて咳き込んだ

痺れ
血流の流れとリンクする周期
抑えても無駄な痙攣
他は無感覚
痺れだけがただ
感じられる僕の全て
止めなければ
僕は死ぬんじゃないだろうか
痺れ

意志とは無関係に
心臓が痺れる
鼓動という名の痺れ
再び吐き気が
痺れた身体のまま
赤黒い塊を吐く
掌で受け止め
蠢く何か
掌が手が腕が痺れる
それが痺れている
血を勢いよく吹き出す何か
こいつを止めねば
この鼓動という痺れを……




自由詩 痺れ Copyright 凍月 2014-07-14 23:56:34
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