木の仔
比良末潮里

私の行方はキノコが知っている
キノコは如実に成長を遂げる

網膜と網膜の絡み合う間
私は見えない目で何を見るだろう

手指の感覚が痺れを切らして
全てを諦めて
空(から)笑いを始めた

キノコはぐんぐんと背が伸びる
押し上げて
雲引き裂いて
天上をも蹴破ってく

「口無し」が香って
吐露(とろ)けている
茶色く濁った花弁はかつて白かった

ハウリングが
静寂を割ったら
現実に戻されて哀しい私の耳

脊髄を砕いて
脳髄を崩壊させるのね

それでも
運命に逆らえない
宿る命ありのまま

キノコの行方を私は知らないの
どうにもならないまま
口が喉が渇いて
思い通りにならない手ゆび

握って開いて
また
握って開いて

あ、
とだけ最後に
キノコに告げて


自由詩 木の仔 Copyright 比良末潮里 2014-07-10 23:37:44
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