絶望のやりかたがわからない
ユッカ
とっくにはじけていた赤い実を
ひろいあつめて なかったことにする
体のどこにも綺麗なものなんて残っていない
何も奪われていないし何も汚されてなんかいない
それでも 真っ赤に染まった洋服の中
綺麗なものなんて どこにも
トントントンと軽快に降りた
階段の音が 心臓の鳴る音に似ている
プラットフォームで 黄色い線をふんで
つま先立ちになるとき 背中を押してくれる人を待っている
ミントのようにつめたい風がふいて そのままどこかに飛んでいけそうだから
目を閉じるけど 誰も助けてなんかくれない
ロマンチックに見せかけた ただの自殺願望を
ぶちまけて
誰かに見透かしてほしい でも
(痛いのはイヤ)
絶望のやりかたがわからない
肝心なことは教科書には載ってないって
J-POPが教えてくれたけど
そんなのってあんまりだ
あんまりだね
明るみの中 暗がりに手を伸ばして
君の手首をさがす
肝心なことを教えてほしくて
大事なことだけノートに書き留めたくて
漫画や映画に詳しくて
それらがどんなに ハッピーエンドのお手本を見せてくれても
幸せになろうとしない
心をここに置き去りにしていきたい