源氏パイ
花形新次

源氏パイがあった
たまたまキッチンの棚を見たら
人目を避けるように
そこに佇んでいた

袋を開け
一枚口に含んだ
ホロっと解けて
甘い香りが
口一杯に広がった

止まらなかった
止められなかった
その責任は
僕にもあった
でも源氏パイ側にもあった

気が付くと
残り一袋(計2枚)になっていた
ここまで来ると
残すも残さないも
妻の怒りに
違いはなかった

最後に思い切って
2枚を重ねて食べてみた
充足感が半端なかった


自由詩 源氏パイ Copyright 花形新次 2014-07-07 12:36:07
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