騒がしい耳鳴り
イナエ

とうとう 
頭蓋ドーム内をコンチュウ軍団に
乗っ取られたのだ

先日から始まったW杯は
もはや故郷の国は敗退したというのに
一日中 声援が盛り上がっている

今日の試合は 
コオロギ君が出ていたらしい
バイクの爆音のようなセミの声援
その対極で
コオロギがかき鳴らすバイオリン

脳内は騒音に混ぜっかえされ
引っ掻きまわされた混沌に
もはやイメージの固まりはなく
軟化した脳細胞からしみ出す水滴に混じって
イタミのしゃぼん玉が零す虹色の
オーロラが閉じた目の奥を流れる

テレビジョンの音量を上げ
ビートのきいた響の中に頭を転がし
ディスプレイの輝度を上げ
目の奥を照射しても
脳内のコンチュウたちは滅びることなく
一層騒ぎ立てるのだ


自由詩 騒がしい耳鳴り Copyright イナエ 2014-07-06 18:53:49
notebook Home 戻る