既視感
眠り羊

「汚染水は
コントロール下にある」
世界に向けて
そう言い切った口が
今度は
「日本が
再び戦争をする国になる
といった誤解があるが
断じてありえない
むしろ
国民の命を守るため
万全の備えをし
抑止力が高まることで
戦争に巻き込まれることが
なくなる」
と言う
難解な言葉は
一つもなく
子どもを諭すかのような
口ぶりで

まるで
「横断歩道の信号が
青ならば安全に渡れる」として
車がびゅうびゅう行き交っていると
指摘をしても
「車にひかれるという誤解があるが
断じてありえない」と
言われているかのようだ

見たいものしか
見ない危険を
聞きたい意見しか
聞かない危険を
日本は
先の大戦で
学ばなかったか
福島の原発事故でも
学ばなかったか


首相はきっと
おじいさんを
尊敬しているのだろう
安保闘争を
押し切った姿に
自分を重ねているかもしれない
日本のために
必要なことだと
本気で
信じているのだろう


抑止力を高めて
国民の命を守る
と言うけれど
市民が
銃で
自分を守ることができる
アメリカは
日本よりも
安全なのか?

ただただ他国と同じになりたがる
だけならば
尊敬される国になど
決して
なることはない
追いつき追い越せ的な
発想のまま
日本はどこへ
向かわされるのか




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最大の問題点は、議論前に既にどこかで結論が決定されてしまっているということです。
そのために、既定の結論を導くための理由しか首相は述べない。後はただ押し切るだけ。
これが民主主義なら、この民主主義は死んでいるも同然でしょう。
自分たちのことを自分たちで決める実質がないのですから。


自由詩 既視感 Copyright 眠り羊 2014-07-06 16:19:49
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