丘の街で(四)
信天翁

──平均余命だけがにやにやしている──  

     瀟洒な閑静といえば聞こえはいいが
  実態は里山的過疎というほうがぴったりの
        いろつやまだらな丘の街並み
            風も光も 時も空も
      ただ口をへの字にしているばかり

 突然 車のドアが怒鳴ったように舌鼓をうつ
   向いのアパートの住人が買い物だろうか
 それとも遅番の出勤だろうか そして 再び
      森閑が老耄のおひとりさまを包む
きのう来訪した民生委員の声がエコーとなって


自由詩 丘の街で(四) Copyright 信天翁 2014-07-06 09:14:33
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