人へ
葉leaf

〈幸せそれとも不幸せ〉
辺りが闇に包まれるとそこに尊い神具があったとしても何も見えなくなる。
僕の眼の前には幸福が大きく広がっているが残念ながら僕の時間はいつでも夜。
星明りひとつない真の闇だから幸福が見えない。
この夜は巡り続けているが一向に明けないので手に触れる幸福を不幸と勘違いする

〈管理職の孤独〉
山を登っていくにつれ風景が寂しくなっていった。
多くの植物と同じ目線で戯れていた日々が輝かしく沈殿している。
他人より優れているという孤独が肩書にも書き込まれた。
もはや熱中できる仕事からも疎外され等水位で批判してくる同僚からも疎外された。
楽しい振りをしながら定時で帰る

〈幸福不信〉
幸せは寄せては返す波のようなもの。
一定のリズムに乗った大きなものの到来。
だが僕はその波が幸せであることを知らない。
ただの砂浜に打ち寄せる水だとしか思わない。
それよりも照りつける太陽のような不幸をいつまでも信じつづけていたい。
何もかも醜く暴いてしまう光だけを浴び続けて。

〈支配と被支配〉
権限が大きくなった分だけ却って支配されるようになった。
部下を支配すると伴に部下からの評判に支配される。
誰からも名前を知られるようになったがその分多くの視線に厳しく焼かれる。
栄光はいつでもひっくり返ってそれでも栄光だ。
成功とは監視の無限乱反射の坩堝に投げ込まれること


自由詩 人へ Copyright 葉leaf 2014-07-05 08:41:20
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