水辺 さまよい Ⅲ
木立 悟





結ぶ手の影がこだまする
無数の鉄路の冬を越え
灰がこぼす粉の首
白へ白へ 消えてゆく日


花があふれ
段をのぼり
影と話し
蒼を残し


水が水を伝え
音は濁り
陽だまりのなかの壊れた機械
壁と窓を濡らす光


河をさかのぼり
廃船は湖にたどり着き
やがて沈み
緑を咲かせる


何かがぐらりと生きはじめ
茂みへ茂みへ誘われてゆく
行き止まりに浮かぶ
白い横顔


暗い緑にゆらめくものが
岩の径をすぎてゆく
雨のなかの双子の会話
やがて雨になってゆく


おののき ふるえ
うなずきながら
幾つもの影が目をふせ
水の冠を聴いている


空の灰が見つめる先
緑の底に
結びほどく双つの手
ゆうるりとゆうるりと渦まいてゆく






























自由詩 水辺 さまよい Ⅲ Copyright 木立 悟 2014-07-01 10:24:13
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