ブリキの森と紙の古城とうるさい湖畔の魔法
クローバー

ブリキの森

過去この森では激しい戦いが繰り広げられた
あの子の手で
おもちゃの兵隊は多く並べられ
忘れられたものから
少しずつ錆を浮かべていった
小さな蜘蛛がときどき挨拶をして
巣の端をあらゆるところに結んでいった
私は同じ笑顔を向けていた
どこになのか、誰になのか、自分でもわからないけれど。



紙の古城

段ボールのおもちゃ箱から
出兵していくおもちゃたちを見送った
紙の古城には
戦車になりそこなったタイヤや
翼の形をしたブロックが古代の遺跡の様相を見せ
布でできた幼い日の友達たちが
皆の帰りを待っている。



うるさい湖畔の魔法

正義は我にあり、全軍出撃
と唱えられた、この森が騒がしかったころを懐かしみながら
私は眠り
湖の底に沈んだようだった
のは、ついこの前までの話で
いらっしゃい、私の友達
彼女は魔法使いで
大きな声でこう唱えると
私を湖畔に引き上げた。





自由詩 ブリキの森と紙の古城とうるさい湖畔の魔法 Copyright クローバー 2014-06-29 23:44:49
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