プラスチックやガラスの破片
馬野ミキ

幼児虐待(育児放棄)のニュースを見て7歳の息子が怒った
「なんでご飯食わせねえんだよっ!」と言ってテーブルをダンッと叩いた
顔は少し震えていて下を向いていた
俺はびびった
わお、そういう感性もうあるのか・・

俺が7歳の時にはそういう感情はあっただろうか
大人に文句を言える発想というか
親がゴキブリを殺したりしてるのを見て布団で泣いてたりはしたが・・

小学一年になったのに息子はまっすぐ家に帰ってきてどこにも遊びに行かない
俺はもう小学校にあがるまえからいずっと外にいて
1人ずつ家に帰っていくのを最後まで見守るような塩梅だった
1人公園に残されたらガラスやプラスチックの破片やねじなんかを集めたりして遊んだ
門限はなかったし、家に帰りたくなかったのかもしれない
父は酒乱で精神的に安定がなかった
今思えばあのガラスの破片やプラスチックの破片は母が洗濯する度に捨てていたのだろうか
俺は多分一人ぼっちの自分の分身としてガラスやプラスチックの破片を集めていたんだと思う
世界から忘れられた彼らはかわいそうだと、プラスチックやガラスの破片を見つけて思っていた気がする
7歳の息子にとってこの家は居心地がいいのかもしれない
それはそれで、よかった。

夜、ネットゲームをしながらWカップを見た
テレビを見ながらチャットでワイワイ
「おお、おしいw」とか
「いまのPKだろ」とかやるのだ
イランが破れ現在アジアはまだ勝ち点3をものにしていない
韓国はベルギーに勝てるだろうか・・
俺はアジアに住んでいるのが恥ずかしい

朝、
うるさい目覚ましを消してベランダに出たら
息子が小学校から持って帰ってきた朝顔が咲いていた
俺は子供を起こし、
「おい、朝顔が咲いてるぞ!」
と言ったら「ふーん」と言われた。


自由詩 プラスチックやガラスの破片 Copyright 馬野ミキ 2014-06-26 16:36:25
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