夜明けの散歩
服部 剛
仕事でヘマをして、凹んで帰った。
さっさと布団を被って、寝た。
早朝にぱっちり目が覚めた。
おもむろに立ち上がった僕は、外に出た。
西に沈むでっかい満月に
思わず、足を止めた。
東の空は白み始めて
何処かの烏はかあ、と鳴き
背後の山々から無数の小鳥は
さえずり始めた。
坂の上から見渡す町の
無数に連なる屋根々々の下に眠る
それぞれの、夢。
それぞれの、涙。
それぞれの、
幸。
(
さいわい
)
(そうか…独りで心の重荷を
背負っていると思っていたが
日々を歩んでいるのは
僕のみではなかったか―― )
街灯等の仄かにともる
まっさらな早朝の道を歩く内に
空は段々、明るくなってきて
頭は段々、まっさらになってきて
心には、いくつかの
楽しいアイディアもともり始めた。
(雨の日も、風の日も、旅の歩調で僕は往こう)
遠くに小さい我が家が、見えてくる。
ポストに朝刊が、入っている。
家に入って、階段を上がり
ドアを開く
妻と2才の息子が
おんなじ姿勢と寝顔を、並べている
ひとつの布団に、包まって。
自由詩
夜明けの散歩
Copyright
服部 剛
2014-06-16 20:00:53
縦