雨音
月形半分子


私、雨に濡れております

髪から雨の雫が

喚くように滴り落ちてくるものですから

ほとほと、いやになりました

雫が喚く

あぁ、うるさい


粉ぐすりは色で選ぶことが肝心ですから

くすり屋へはいつも裏口から訪います

花柘榴が、おなじところにばかり散り落ちるように

ようにようにようにように散り落ちるように



くすり屋のご主人、

客と思うとラジオを消しますから

それがとても気がかりで私はなりません

ときおり、ラジオからも

雨の雫の音がいたしますものですから


あぁ、誰もがずっと

雨の音をきいている

おなじところにばかり散り落ちる花柘榴のように

ようにようにように散り落ちる花柘榴のように


自由詩 雨音 Copyright 月形半分子 2014-06-12 12:12:49
notebook Home 戻る