人へ
葉leaf
〈雨天から降ってくる雨という憂鬱〉
世界が世界一つ分狭まると雨が人々の庭に侵入してくる。
人は歩けない以上に歌が歌えない。
声は口に達する前に雨によって沈められてしまう。
電車が遠くを走っている。
新聞配達が新聞を配る。
何でもない自由な出来事が、全て儀式の固さをまとってしまうのが雨天の日だ
〈偽ることでつながる〉
本物の愛も憎しみも友情もない場所で僕はやっと人の輪の中にするりと入れた。
互いに仮面をかぶり事務と論理が支配する場所でやっと僕はメンバーとして認められた。
心からの笑い合いや本音と情実の場から弾き出された僕が効率性を生み出す偽りによって初めて社会的な愛に包まれた
〈これから生まれようとする君に〉
君のお父さんに聞くとまだ君は完全な人間の形をしていないらしい。
まだ人間でなくとも既に新しい命である君に予め自己紹介をしておこう。
僕は君のお父さんの親しい友人です。
君が生まれると君は僕にとって不思議な友人。
君の人生を遡ると僕の人生と既に出会っています
〈リーダーの要件〉
人から流れてくるものの向きをうまく変え自らも流れを作り出し沢山の流れを合流させまた分流させる。
幾つも実った果実の中からたった一つを選び出す果実一つ一つの同意を得ながら。
目はどこまでも鋭く強くなければならない目に意志が集約されている。
連帯を作るため連帯を超えていく