傷つけない冷たさ
森川美咲

優しさの筈が傷に沁みて
痛みを生むことがあるのだと
初めて知りました
それでもあなたには感謝しかないのですが
逆に自責の念が頭をもたげました
おそらく傷を作って放置していたのは
私自身だからです
あなたに罪はありません

誰かの見えない傷を
突き刺すのも
引っ掻くのも
恐ろしくて
私はこれからも
あなたのようにはなれないでしょう

さて私は
今夜また少し
冷たさを身につけてしまったのでしょうか


自由詩 傷つけない冷たさ Copyright 森川美咲 2014-06-08 02:51:38
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