われまどぎわりろん
ねなぎ

顎まで
滴る液体が
不快なまま
ぬるい風が
吹き込んでいる

この暑いのに
エコだってんで
窓からの
温い風を
浴びてる午後に
急に今日中だって
現場入れられて
人手も足りないのに
十円ハゲの茶髪と組まされて
車は確保したら
キャリアも付いて無くて
六尺で十分だと思ってたら
九尺でやがって
乗るかよって文句言ったら
乗せろよって言い返されて
助手席倒して
ヘッドレスト取っ払って
固定も出来ずに
詰めたら
既に
運転席に
茶髪がハンドル握ってやがる

文句を言おうにも
その図体を見て
自分の
コンパクト差に

ため息

しか
出やしないのだが
それも
熱気で
湿気て
やがる

部材を退かして
無理やり体を押し込めて
足元の地図を
踏みつけたら
天板に肘が当たって
どこかで
ビス箱が
ひっくり返る
音がしているが
既に
何も
言う気にもならずに
音を聞いている
だけ

ガラスに
顔を押し付けたまま
無理やり
ドアを閉めて
横見たら
船を漕いでやがって
とりあえず
怒鳴って
急かして
発進させたは
良いものの
首は捻れたままで
目の前のガラスか
後頭部のアルミか
ってんで
アルミを除けようと
ガラスにへばり付いたら
顎が開かないで
エアコンの風を
額で受けたまま
横目の
景色だけが
流れていくのに
こちらは動けないまま
冷やされて
曇ったガラスの
湿気が
伝うのが

気色悪い

取り敢えず
急がせようと思ったら
ラジオの声が
邪魔して
怒鳴るように
喋れば
舌打ちの
返事

そのまま
無言だったら
曲がる所を
間違えてやがって
見覚えのある
曲がり角が
通り過ぎて
行くんで
曲がれと
張り上げたら

急に

ハンドルを

切って

体が
傾いて

擦れて

焼けるように

目の前で

天板が

フロントを

音が
響いて

つんざめいて

どこかしろから
鳴り響いいて

鉄と
ガラスと

擦り合わせて

突き破って

砕けて

飛び跳ねて

散らばって

音がして

止まり


動けないまま


目の前の
破片の
残骸と

側頭部が

熱くて

ズキズキとした
痛みを

手で拭ったら
べたべたとした


赤い


自由詩 われまどぎわりろん Copyright ねなぎ 2014-06-04 01:18:49
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