シギ

嗚呼 君の視線は何処へ向く
此の愚かな世からは目を逸らすのか

狐火が光る 湖面を照らす 蒼の焔
笑えなどしない どうして笑わぬ 能面の君
泣きたいと望むのならば 夜を裂いて泣けば良いものを
そうしたならば 今 無き月が姿を現すだろうに

そしていつも夜は明ける
君の心は 闇の中

その小さな手は 何を望む?
ちっぽけな花 美しい花 儚き花
その手で手折り 何処へやる?

此の世に太陽が昇り 沈む限り
夜とともに 闇は来る
人は 闇を避けられはしないよ
ならば一つ 夜を照らす月が有ればいい

笑えなどしない どうして笑わぬ 能面の君
泣きたいと望むのならば 夜を裂いて泣けば良いものを
そうしたならば 今 無き月が姿を現すだろうに

嗚呼 君の視線は何処へ向く
此の愚かな世からは目を逸らすのか

嗚呼 それは此の穢れた世が悪いのか
   それは泣かぬ君が悪いのか
   それは泣くことを促さぬ僕が悪いのか

笑えなどしない どうして笑わぬ 能面の君
泣きたいと望むのならば 夜を裂いて泣けば良いものを
そうしたならば 今 無き月が姿を現すだろうに

君が笑わぬ 僕も笑えぬ
君が泣かぬ 僕も泣かぬ


嗚呼 それは此の穢れた世が悪いのか
   それは泣かぬ君が悪いのか
   それは泣くことを促さぬ僕が悪いのか


自由詩Copyright シギ 2005-01-22 14:25:52
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