鈍行
深水遊脚



陶製の午後は日かげの手ざわりと埃のにおい くもを踏みたい


割れた爪が挟む髪の毛 濡れた服 風に飛ばない足下の綿毛


風船が歪み飛び出す水の球 複眼の視界から逃げられず


通過駅の蛍光灯とラブホの灯 閑散としたアーケードの灯


失禁を隠してくれた大雨に抱かれて歩く 傘はあるのに


短歌 鈍行 Copyright 深水遊脚 2014-06-01 22:22:59
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