朝の心臓
ハァモニィベル

古い手紙を炎が読んでいる
泪を引き摺った星屑の海を見ながら
夜が月を口説きつづけている空に
たち昇り煙る記憶が渦巻いて踊る
醜く膨らんだ雲が濁らせた景色を
冷静に見つめる硝子窓は沈黙を守り
闇が深く酔いしれる程
風は一帯に掻き消されていく
 寝静まった社会の
誰も気づかない余白の隅で細く呼吸する
意識の木につかまったベトベトの虫けらが
口に嘘が鈴成りのまま飢える
眼底出血の眠らない物神を
ひたむきに運び続けている
訳を、語りはじめる

朦朧と
確証する飢えた夜に
笑い声教室で押し潰されたぼくの日々が
1/100に圧縮された状態で
無造作な堪忍袋にくるまれて
ラップされた小宇宙

隠し場所の奥の隙間に堕ちて
届かない指のような
モ・ド・カ・シ・イ
 浅い眠り


戻った部屋のなかで
翼を探しながら碇に躓く
朝の心臓




自由詩 朝の心臓 Copyright ハァモニィベル 2014-05-31 01:35:17
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