遠近法
ichirou

車窓から見える
取り残された小さな雨雲
遙か上空には羊雲
下から覗き込みながら
西へ西へと私の視点が移動すると
小さな雨雲は立体的に体を見せながら恥じらう
そして雨を降らす間もなく
すぐに私から離れていく
妙な名残惜しさと
微かな青い空の背景の下で
遙か上空の羊たちは
ゆっくりゆっくり
東へ向かう
後戻りできない私を後目に
ゆっくりゆっくりと










自由詩 遠近法 Copyright ichirou 2014-05-26 18:03:16
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