肝を埋める
あおば

         140525
私たちは不慣れなので
お日様が銀色になると
涙が止まらなくなるの
ラジオ体操をしながら
涙の滲みを気にしてる
犬も吠えるのを止めて
どうしたのと眺めてる

大きな力押し寄せて
大地が真っ二つ
銀色の力の威力に
逆らう男たちは吹っ飛ぶ
肝を埋める穴を掘る
幼児の姿
大人の倒れた大地には
銀色に滲んだ雨が降る

金色に希望を託す者を
異端者として処罰する
ファシスト軍団が
群青色の空に黄色を散らし
新しいお日様を打ち上げた

市制施行50年を祝う
古臭いラジオ体操に従って
腕をぐるぐる回す
体を捻り前屈後屈
跳躍させられて駆け足
銀色の力に屈した老若男女が
亀裂の穴から這い出てきたらと
白い目の太陽が手薬煉を引く

おしゃべりのうまい女が団子を焼く
お金を配る狐の尻尾が銀色に揺れている
誤字脱字を見張る瓦版屋のど根性
太陽を西から揚げたと刷っている


自由詩 肝を埋める Copyright あおば 2014-05-25 06:52:59
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