上り電車
佐白光
窓の外 暗闇の中を流れる 家々の灯りが
今日の 戦いで輝いている
駅で すれ違う 下り電車の中は 貨物車のように
生命の 灯りが 感じられない
ホームを歩く人々の 家路に向かう 一歩一歩が
鉛の靴を履いているように 重力がかかる
精一杯生きて 輝いているはずなのに
足の鉛が取れない
生きていることの 楽しさが感じられない人々で
埋められる 駅
電車に乗りたくない と言いたげな 顔をして
線路を見ている 姿が ホームの光を吸い込んでいく
迫りくる ブラックホールに 怯えながら
自由詩
上り電車
Copyright
佐白光
2014-05-17 01:33:03