『 夢セイRunの着床 』
狩心

 朝、

 無精卵を焼いたものを
 レタスの羽でgoogle巻きにして閉じ込め
 「 始まり 」と呟いてから、口に放り込み
 「 人 」から貰った思い出の
 You know meを片手に
 まだ、人気の少ない町を
 ベランダから眺めている、未来
             流れ込んでくる情報に翻弄され
             数多のアナタは、シテンを失っていく

 少し遠くの大通りから微かに
 ジメンと車輪の摩擦音が聞こえ、
 そのまたさらに遠くのコウジョウから
 シコウの異臭を放つ水蒸気「 思いを形に 」が立ち昇っていて
 巨人の虚像を作っている、未来
             迷いの無い物体の挙動は宇宙へ向かい
             その途中で出くわす、虚無の穴に吸い込まれて消える

 レ+の羽に張り付いている
 ショウチョウの幼虫が
 ショウカさせたジ実を
 それ本来の回路から解き放った瞬間
 「 誰か 」という瞬き
 世界の断片 沢山の消しゴム 散らばって
 チがドクドクという…

 時間が遡り、
 過去の中で「 今 」が湧き上がる

 僕の中の下僕が寒気を感じ始めると
 死んだケッコンの様に青白かったマチはゆっくりと
 赤黒いシのダンショクの光に包み込まれ始める

 例えば、大人に成れない大人、子供のままの大人
 例えば、メスの心を持ったオスと
 オスの心を持ったメスの
 共犯による
 無差別殺人事件
 例えば、生まれて間もなく消えた命
 例えば、子孫を作れない生物
 例えば、他者に寄生して
 いずれは完全に乗っ取る生物
 例えば、魂の無いロボットが
 死んでしまった主の体を
 設定されたプログラム通りに
 優しく抱き抱える様
 それが写真に収められて
 インターネットでばら撒かれて
 人々の脳細胞に「 それ 」がコピーされる様
 「ご主人様…、ご主人様…、ゴッ…」と
 「 私 」の足を舐める少年が
  背中から生えた手で
 カミをぐしゃぐしゃにして
 つまり「 それ 」が
 私の頃の私で、
 部屋の壁全面が鏡張りになっていて
 そこには他人の姿をした自分が
 無限の反射で無数に連なっている

 大Youが湧いたヤカンの音でまた
 目前に朝もやのマチがアラワレ
 「オカエリナサイ」
 「イッテラッシャイ」
 という音声が交互に流れてきて
 その速度が速まると
 2つのイセイは完全に一致し、
 「 異口同音 」の
 「 同音異義語 」の
 行方不明になる

 飢えて倒れた旅人達の屍が集まって
 懐疑的な会議が行われ、
 始まりが幾重にも重なって
 「 新たな 」人や動く箱が少しずつ増え
 輪廻の擦れる音がゆっくりと近付いてきて
 下僕達の喉仏に貼り付き
 声を奪う

 誰も助けてくれない
 自分で自分を助けようともしない
 ただ 成すがままで、

 そしていつの間にか
 あらゆる建物から水蒸気が上がり始め
 「 涙の倒立 」と呼ばれたそれらが
 一つずつ気化していく

 正しいセイ、コウから掛け離れた
 不純なイキ、に塗れた集い

 そのknow無の中で服を着て
 「人はヌレた服を着ていた方が、ヨク燃えるんだ」と
 巨人の手から落下したタイ、マツがセイキの数を数え
 進化、文化の枠を超えてワク、セイに不時着、着床し、
 二元論ではない、第三者のセイとして
 全てをヒョウケツさせる
 絶対レイドのチ、テン、からのカウントダウン、つまり

 そこに灼熱の体温を宿した人刺し指の宇宙セン「 千手観音自殺 」が侵入
 何度も屈折し、蛇行する、
 ミチのファンタジー&エクスタシーを 掻き 汁す
 ぶちまける

 数多のアナタに触れようと
 震える指先エイリアン達がイセイを入力し、
 ケンサクをシ始める、そして

 美しくトケたヒョウケツの過去という「 今 」は何故か
 薬品の、省略の、ほろ苦い味がして
 翻訳の副作用に騙されているのか、
 仮想で終わるはずだった命を救えたのか、
 区別が付かない

 ワタシのノウは
 まだ 大丈夫なのか

 もう、この世とあの世を繋ぐ
 時間へのアイが
 ココには無いというのに

 ベランダの柵を飛び越えて
 ジメンに叩き付けられたワタシの影が
 人の形を棄てて
 目では見えない地平線の向こう側へと
 伸びて移行とする カイギョウ魚宇宙命令

 排泄の壁に張り付いて養分を吸い尽くすムシのように

 されど、
 一つの点のように
 座標を持つ事は無く

 永遠に伸びる一本のセンは
 全てに触れようと
 少しずつ太くなり、立体化していく
 螺旋の蛇だ

 そしてそれは次第に
 ねじれ始め、
 ぐちゃぐちゃの形になり
 安心すると拡大を止める

 丁度その頃にやっと
 湯呑み一杯の苦い珈琲を
 飲み終える事にセイコウし、
 アメーバの反復繁殖のように広がった影が
 一気に私へと帰化してくる

 私というものは
 いつもその衝撃に耐え切れず、
 You know meを落として
 割ってしまう

 煮詰まった気泡の
 焼け爛れた羽を手に持ち
 空間と空間を差別化するブーメランのキドウを確保し
 あらゆる衝撃に耐え得る
 可能性の朝、

 無精卵の友を秘めて
 ヒ、目事のように断食(ダンショク)

 例えば、
 「 終わる 」はずだったものを
 終わらせないように
 始まりを求めないように
 始まっている

 遠くのコウジョウで立ち昇る水蒸気と
 競うようにしてハク、体を包み込む透明なイキ、
 その迷彩

 お供亡き「 その 」
 私を離れた私の
  イシのナイ
  迷いの純粋な
  仏体の倒立

 無声ランの友を秘めて
 地名的で致命的な
 一名的位置の迷滴
 <弾shock>

 ヒ、目事の夜に/花咲く
 重決の朝、

 赤いチの蜘蛛の巣に捕らえられて
 乾き切った小さなチョウ
 それでも尚、
 まぶたを閉じない

 遠くから聞こえる
 アナタへの
 アイ






自由詩 『 夢セイRunの着床 』 Copyright 狩心 2014-05-13 14:51:31
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