図書室の記憶
ういち

 彼女は真直ぐ見つめて小箱の引出しを開きながら、僕にこう言った。

「キリギリスは麦を引き、栗鼠は耳を弾くんでしょう?
 だからこう伝えて。その愛撫は夕暮れの悪いサラダ菜と蓄音機をフラスコに入れて蓋をするから、貴方を動かして皮肉に突き落とすのは弐拾六ペエジのクラブ。穴のあいていない切り身。私は嘆いてばかりで無くなってしまうよ。」
 僕は、「ここが無関心すぎるんだね。その並べられた釘を。まあ、いいか。」と答えざるを得なかった。
 当たり前だ。

 ザリガニは切れて埋葬に指輪をするには、にじんだ指に刻印して消し具のここそこに片目を。
 破壊が進んでいって、鍵はあらわにされながら笑い、笑いながら回って、回しながら眠る。
 卵白の小瓶に満ちた香水を流しながら歌う少なすぎて並べられない彼女に言おう。
「薬指を噛むコードの絡まるオペラグラスと万華鏡に砂糖菓子を。」
 血はもう止まり、滴る音は響きを変えて糸を渡さないバジルを養うだろう。
 もう心配することも無い。毎年、その日は誰も眠らずに水芭蕉と、鈴の飾り輪、ハシバミの油で灯した抱き枕を抱いている。それが、流行っているそんなそぶりも無関心だった。

「さっきの人は、擦り付けた調子の悪いピーマンのスピードに前は気づいていたでしょう?」
 彼は、当て字が鳴り響く中ビニールとオレンジの匂いが象られて飛行機雲を取り込みながら僕に差し出した。
「どうでもいい長い切れ端は、砂の間に現れて調教される市松模様で理想に囚われた乳白色。
のみで切り出してから茹で上がる鮨はは電話の先のきらきらと光るからね。」
 非現実的なランプはスナメリの毛のように罪と罰。
「緑色のヴァーミリオンだね。」
「彼は生まれてからこれまでに書いた量よりも多い中に、滑り込ませるしね。」
 積み木は彼女の方法論。
 4人きりの部屋は上機嫌な赤い木の実に混じってセイタカアワダチソウが口紅に怒鳴り込んで深刻すぎない三面鏡。
 無音の四十万に雑な驚喜は風貌を吸収しながら試験管の中のシラタキを知らずに帰ってしまう前にガラスに入れられて九十二の短い接触を繰り返して揚葉蝶を探す。

 この文章は私が読んだときと、彼が喋った時の印象が違うのに一部ずつを大腿骨に漂わないように錦鯉の古びた視覚だけに頼った重要なイメージに滝。
 有給のまま粉々に割れて水を湛える陶磁の皿だよ。
 感覚を刺激したい猫は激しく提出されるタイ焼きの錆を老賢者の負け惜しみとして透明な中にもふと日記に消毒する映写機。届かない底知れぬ毛穴は古い町並みに愛させてやまずに精錬された。
 
 
 つまり、あの頃の幸せな図書室とはそんな所だった。


自由詩 図書室の記憶 Copyright ういち 2005-01-21 04:13:51
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