風にそよぐ掟
イナエ


動物園の規則正しい給餌や
健康で安全なゲージに
拘束されることを嫌って
自然界へ飛び出す鳥がいる

自然界で生命維持するには
喰われることのすくないけものでも
ストレスがあるのだろうか
動物園に入り込むさるもいる



行儀良く空を仰いでいる山の木々
穏やかな息吹で巷の暮らし疲れた私を
癒してくれるけれど
山肌に潜り込んだ根は
互いに絡み合って風に耐え
それでいて
餌を奪い合い 水を奪いあい
高くのびて枝を広げてて光を奪い
未熟な草木を枯らすという



夕暮れに向かって
急いでいた一日に追いつかれ
都会の空を銀色の鳥が大気を切り裂くとき
体温を失なったナイフを研ぎながら
人を殺せと
言った教師の教えは
正しかったというのか

幻想におぼれる感性は
張り巡らした糸に触れる者を
破壊し切り裂さいて
炎に焼かれた理性の痛みも
何時しか麻痺していく



自由詩 風にそよぐ掟 Copyright イナエ 2014-05-03 10:47:35
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