二度目の初恋 など三篇
クナリ

<二度目の初恋>

もっと 諦めることが
上手になったと思っていたよ

初めて好きになった人を 好きすぎて傷つけた日々
あんな思いをさせることは 二度とないと思っていた

もっと大人になったと思っていたよ
手に入れたい人と 手に入れられない人
幼い衝動は通り過ぎ
手に入れるべき人と 離れていくべき人
そんな価値基準に
とうにがんじがらめになったと思っていた

二度目の初恋に
太刀打ちのしようもない
誰だって初恋は
処しようがなくて 悶えただろう

こんなにいとしく思ったのは初めてだと
そうして僕らは 何度も初恋を繰り返す

一生に一度のはずの 果てしない憧れが
二つとない運命のはずの 天焦の想いが
何度だってやって来てしまう
誰にだって覆いかぶさってくる

でも
今この時の この恋だけが確かに違う

二度目のこの恋が
僕の最後の恋

「誰にだってあるんだよ、そういうことが」
そう笑われるのが分かっている

それでもこの恋が
僕の絶後の恋。





<帰り道>

帰り道で抱きしめたい

行く道の先には色んなものが待っている
帰り道の先には私たちだけが残るだろう

帰り道で抱きしめたい
私たちだけの帰り道で。





<降りる駅を乗り過ごした、他愛もない理由>

君がまだ降りなかったからだ
まだ名前も声も知らない君が。


自由詩 二度目の初恋 など三篇 Copyright クナリ 2014-05-02 19:16:46
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