世界の外側
葉leaf

世界の外側


世界の外側に
もう一人僕がいる
あるいはそれは
何人もいる僕のうちの
たかだか一人に
過ぎないのかもしれないが
この世界の外側に
もう一人僕がいる

あの日君は喜んでいた
試験に受かったと喜んでいた
共に勉強していた僕も嬉しかった
だがそんな僕と君を
何の感動もなく受け流していた僕がいた
喜びと石ころにまったく区別をつけずに
世界の外側の
天国も地獄も追いつかないような場所で

あの日僕は驚き悲しんでいた
とんでもない地震と津波が起きて
ひどく揺れたし人が沢山死んだ
僕は言葉を発することができず
沈黙の中に無量の意味を込めようとした
だがそんな僕を
嘲笑うように支配していた僕がいた
温かくも冷たくもない掌を奇妙に掲げて
天災など人間に何も関わりがないかのように
世界の外側の
もはや言葉が心と闘わなくなった場所で

あの日僕は考えていた
仕事のミスをなくすにはどうしたらよいか
仕事に就くことで何を得て
何を失ったか
そして僕はばからしくて鼻で笑った
考えるより実践する方がずっとまし
だがそんな風に自分を外側から見ていた僕を
さらに外側から斜め読みして沈黙していた僕がいた
世界の外側の
すべての世界より大きな世界のさらに外側の
過去も未来も死に果てた場所で


自由詩 世界の外側 Copyright 葉leaf 2014-04-26 15:12:25
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