生きる
中山 マキ







眠って起きることが当たり前じゃない人に
「死にたいのよ」と微笑まれて
頷くしか出来なかった

だって、わたしは眠ることに不安も疑いも抱かない
朝の憂鬱さを思い「もっと眠りたい」なんて
言ってしまうだろうから

人生は貴重な日々で形成されるはずなのに
その1日は日めくりカレンダーのように
あっけなく過ぎ、捨てている

290円の牛丼も3万円のフルコースも
同じように咀嚼し、嚥下し
便となる

行く末が同じでも過程を大切に思う
それが生き方の根源にあるべきこと
それでも大よその人の当たり前が
全てを台無しにしている

そのままでいい、そのままがいい
このままでいい、このままがいいは
満たされていればこそ

病棟の出入り口で
涙顔の背中を見送った
どれだけの人が本来あるべきはずの
人生を生きているのか
そして、生きられるのか







自由詩 生きる Copyright 中山 マキ 2014-04-25 17:12:39
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