ふつうのこと。
比良末潮里



手指の曲がり具合

それだけを見ていた

読み取れない手話など

どうでも良くなってた

ふと

止まって

人差し指をふる

「どうしたの?」



見上げる瞳

まわりの誰もが知らない暗号で

私たちは私たちを

積み上げていく

「なんでもない」

と横に振る首

口角を上

眉をアーチにあげて

応えながら

彼のその向こう側を見てた

「雨が止んだよ」



自由詩 ふつうのこと。 Copyright 比良末潮里 2014-04-25 00:02:10
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