咲いては音楽、散っては忘却。
komasen333

季節を
終わらせましょう。


実らない季節を
あきらめましょう。


踏ん切りをつけて
新たな歩みを始め
次なる光を探していく。



悲しみを増幅させてまで
しがみつく過去なんて。


寂しさを引き摺ってまで
なぞり返す過去なんて。



風にゆれる桜を見つめる老父。
「今年も桜を見れた」と、喜びを噛みしめる。


満開を目映そうに見上げる学生。
繰り返す原風景の1つとして胸に刻みつける。


舞う中で和やかに笑いあう新社会人。
これから始まる新生活の不安と期待が駆け巡る。


アスファルトに散った花びらを拾う女性。
「あと何度この桜を見れるのか」と考える木漏れ日。



それぞれの歌を鳴らしながら
それぞれの詞を思い浮かべながら
それぞれの人生と重ね合わせ、今を見つめ直す。



現在位置の尊さ
未来地図の不確かさ
ない交ぜにしながらも
無言で咲いては舞い散る桜のように
淡々と繰り返していく。


これまでも
これからも
ひたすらに。


それぞれ
流されるままに
風に吹かれるままに。


咲いては歌にされ
散っては忘れ去られる
桜のように。


自由詩 咲いては音楽、散っては忘却。 Copyright komasen333 2014-04-15 14:56:41
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