新宿の地下室にて  
服部 剛

地下へと続く階段の脇には
だらり、とぶら下がった黒いコンセント
に結ばれた、赤い糸

地下のさびれたライブハウスでは
音程の狂った歌手が
あの頃のみっともない僕みたいな
コッケイな恋の溢れを唄ってる  

  *

今宵の僕は
歌舞伎町の怪しい夜風の掌に
ぬらりと首筋を撫でられながら
ふらりとここまで、すり抜けてきた

さびれたライブハウスに、入れば
カウンターには久しい友が
古書を開き、薄茶けた頁から
時を越えて語る
ニーチェの声を、聴いている

  *

そうして僕等は琥珀色のグラスを
互いに、重ね
これからの旅路で詩うべき言葉について
カウンターに頬杖ついて、思案する――

  *

歌舞伎町の、さびれた夜の
ライブハウスの暗い中空に
エコーする、浮遊している  

もののけ達の声  







自由詩 新宿の地下室にて   Copyright 服部 剛 2014-04-14 23:17:30
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