焦げたカレー
めー

焦げたカレー
僕は
死の味を知らない
生の味も、少ししか知らない
でも食べないと
この焦げたかおりが苦手だけど
食べないと

僕は誰であり
誰なのであればよかったのか
やっと寝かしつけた僕、の何人かが
寝返りをうつ
時はまたたくまに滑り落ち
キッチンでは悲しみが
ぐつぐつと煮えている

僕ももういい加減眠いのだけれど
もう足の踏み場もないこの場所で
小さな枕ひとつ抱えて
さあなさてなと問い答える声のような
悲しみの音を聞いている
悲しいかどうかもわからないのに

ハンドルを
少しひねれば
液体が
あふれ出してくる
装置から
僕の家の軒下へと
流れていく流れていく


自由詩 焦げたカレー Copyright めー 2014-04-13 07:00:06
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