陽射し

冬の午後を
公園に置き忘れたので
急いで取りに戻った
言葉を頬張りながら
塾へ急ぐ子どもたちと
光速ですれ違いながら

公園に着くと
理科準備室から
そっと盗んでおいた
雲母の標本を
丹念に剥がして
空気にまぶした

衰弱した陽射しが
とてもきれい
ようやく君は
呼吸を始める

僕はまだ

生まれていない


自由詩 陽射し Copyright  2014-04-11 11:01:00
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