ぬるっこいサンプル
みい



あのお姫さまみたいにうそぶくあなたのその声の中では
死んでしまった方が、良いのですか
初めてそんなことを思いながら
今日もピンを刺します

このピンでは、手のひらを
1センチだけ刺すことができます

荒い目の
ツイードをぎゅうぎゅうにいせこんで
合わせるべきところと合わなくなりました

もうすこしだけすかすかの、誰かに逢いたいの
咳く、あたしと
名前が同じだということを知っていますか









お兄ちゃん、あたしと一緒に行こう?
ユーモレスクを誉めてくれたお兄ちゃんと仲良くしたいの

はらわたを
ちゃんと取り除いて食べさせてあげる
片面ずつ焼きながら、魚と
目が合って それでもなお
焼く

ということが
今の世界で









層になる、
つないだ手、を、
層になる、
脳のその、つないだ、手、を
ステレオで、しよう、いや、
唇なら、うまくいく、のでは、ないか、と
だまる、
だまるところでは、
なくなる、
ふいうちで、ななめ、から、つまんないと似てると誰かが言った愛してるを
耳に、
つなげて、

きこえるというのはとてもあたたかく
べつのところでべつのものがまた
わたしのものになるかいかんと


層で

埋もれ

その中で不安ですかと聞き
抱いてあげる


言い









鉄、と呼ばれるお姫さまとファミリーコンピュータの中で
あられもないピーチ姫の世界を奪い合う

鉄は
都合が悪くなるとパラフィンで世界を固め
あたしは
パラフィンでデザイン画を描き

今日がはじまります


今日とは
どこからのことなのかというところだけが
みんなばらばらのまま









腕時計が13を指します


ユーモレスクを誉めてくれたお兄ちゃんと仲良くしたくて
タランテラを誉めてくれたあなたと仲良くしたくて
アラベスクを聴かせてくれたあなたと仲良くしたくて

五線を次から次へとぱらぱらと茹でながら
丁度良いアルデンテの頃、ぽこぽこと拍手が沸き上がるように
ただ台所で突っ立っているあたしはたぶん
とても冷たいのでしょう

隣の壁も冷たいのです
真っ白でまるでほら、雪が降ってきました
一晩中降り続けた雪で土も真っ白になり
これが
世界の果てだと震えながら
そこに立っています


時間がまるまってついに13を突き刺します
あなたは割り切れないと言って泣き叫び
抱いてあげる、唐突にまるめて、
拍手がやみました
伸びきった五線は体温とおんなじ温度になり
あたしは
おんなじ13で割ってしまいたいのです









太陽の見過ぎで
とけてしまった

なんといっても
世界の果てだったのだから


返事が来なくてよかった

今も咳く、
あたしの名前を本当に知っていますか








自由詩 ぬるっこいサンプル Copyright みい 2005-01-19 21:05:43
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