音の和 春の和
ichirou


父がハーモニカを吹く
孫らに
子らに
万感の思いを込めて
「花の街」を吹く

私は父が奏でるハーモニカが好きだ
80歳になっても奥深い響きは変わらない
何十年経っても変わらない響きに
妹たちも母も安心して聞き入り
孫たちや妻や義弟たちは
初めて聴く父のハーモニカの響きに驚いていた

演奏の途中
吸う音階が続くところで
音が途切れそうになった
すると
77歳の母が歌い出した
違和感なく自然に小さな声で



父のハーモニカの響きと
母の小さな歌声は
音の和になり
踊り出す

そして

窓の外の
七分咲きの桜と
春の日差しは
春の和になり
踊り出す




自由詩 音の和 春の和 Copyright ichirou 2014-03-29 19:13:20
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