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Lucy

寝てる間に僕は
バージョンアップされているらしい
知らないうちに新情報がインストールされている
過去と未来の脈絡もなく
誰かと入れ替わったことにも気づかず
昼夜を問わず
意識にのぼる暇もなく
嘘の情報をうのみにする
感化さればらまく
不用意に実行キーを押す

「他人がこうだと決めたようにしか
 世界が見えなくなったら旅は終わり」
二十年前のノートにあった…僕の筆跡

僕は認識しようとする
気に留めようとする
理解し思考し判断し選択する
目を凝らし耳をそばだてる
ゴーストだらけの画像
ノイズまみれの暗号

心は空っぽの箱で
油断してるといつも何かが注入される
送られてくる信号を
うのみにしては
泣いている笑っている心配する憤る
忙しいのになぜか何も残っていない

誰かの言葉をオウム返しに口にする
そしていつしかあらゆる過失に加担している

見て見ぬふりをした罪が
取り返しのつかない大容量で
ある朝送りつけられる




   (「蒼原」67号に掲載)


自由詩 更新 Copyright Lucy 2014-03-24 23:44:14
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