岩手の父へ
ヒヤシンス


表通りはこんなにも穏やかなのに
私の心は悲しみの連鎖に怯えている。
残された時の歩みの中で、
一体何が出来ると言うのだろう。

愛する木々のさざめき、予感の連続。
ひと月。永遠のひと月。
確実に訪れる身内の不幸に、時折我が精神を疑う。
頭での理解の枠を越え、それに抗う術もない。

立ち向かわなければならない。強い心を持って。
雨雪にも負けぬ太い幹にならなければならない。
愛する家族を守らなければならない。

父は私に託したのだ。私は確かに受け取った。
しかしもう一度、満開の桜を共に見たい。
楽しいなぁと笑ったあなたとせめてもう一度。


自由詩 岩手の父へ Copyright ヒヤシンス 2014-03-24 03:18:51
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