壁・・・
tamami

 壁を見つめて壁に書いた
 壁に眼で書いているから
 誰も気が付かないだろう

 もうこの壁ともお別れだ
 明日は別の壁の前に居る
 じっと壁を見つめた日々

 壁の前に机を置いている
 もう机の前は窓にしよう
 窓から見える風景が浮ぶ

 新しい部屋は公園の前だ
 新しい部屋の机の場所は
 小さい窓の下に決めよう

 引っ越してから数日過ぎ
 また僕は壁を見つめてる
 腰を下ろし縮こまった僕

 いつの間にか壁に向かい
 あれこれと壁に語りかけ
 眼で強く深く刻んでいた

 壁の無い部屋に行こうと
 引越しの手続きを進めて
 ふと、気が付いたんだよ

 壁と友達になろうと思う
 小さな窓から眺める風景
 僕は風景も見つめている

 壁に語りかけるみたいに
 小窓の外を見つめている
 壁に窓にと視野が広まる

 広まった視野に別の風景
 別の記憶が刻まれていく
 これっていいじゃないか

 


自由詩 壁・・・ Copyright tamami 2014-03-22 07:30:34
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