新聞紙
末下りょう


寝ぐせはゆめの死顔
つまらない
ゆめの


微熱を帯びる新聞紙を
鼻先に近づけ
一日の予言を受けるように
朝を吸い込む

行方不明の飛行機
アイドルの恋人
どうでもいい

ポストのなかに消え去り
読み終わるまえに
途中で忘れるだけ

インクの匂いが毎朝 、
僕を甦らせて
励ます

雨の日に
暗闇で一緒に
遊んだなかだ

大切なことは
まだベンジンが残る
古い新聞紙に
くるんだ


そこにはいまだ何も書かれていない


わずかな今日を
支えて、
ただ濡れている

いくつかの
僕の小さな死亡記事は
ビニール紐に
括られて、
重なり合い

台所で低く
首を曲げ
体操座りをしている



自由詩 新聞紙 Copyright 末下りょう 2014-03-16 01:16:57
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