乱視なナンシー
末下りょう


自由気ままでさ
陽気で乱視なナンシーはさ
なにもかもうまく掴めないからさ
大好きな街角を印象派みたいにさ
淡く滲んで歩いてさ
知ってる人や知らない人にさ
軽やかに挨拶してさ
スキップして約束を忘れたりさ
車にひかれそうにもなるけどさ
それはそれでさ
たまに肩や頭に小鳥がとまるさ
乱視なナンシーはさ
なにもかもうまく掴めないからさ
街角の天使みたいにさ
滲んでぼやけた境界線でさ
遥か先の風景をあてもなく眺めてさ
哀しいメロディを口ずさんでさ
花の名を知らなくてもさ
風の名を知らなくてもさ
誰かと手を繋げればさ
それはそれでさ
楽しいおしゃべりはさ
話すより聞くのが好きなさ
乱視なナンシーはさ
なにもかもうまく掴めないからさ
象も蟻も同じくらいチカラ持ちでさ
森で蜘蛛の巣に捕まったりさ
流れ星を手の中で失くしたりさ
乱視なナンシーが笑うとさ
世界中の傘がパッと開いてさ
それはそれでさ
ものすごくカラフルでさ
乱視なナンシーはさ
なにもかもうまく掴めないからさ
大好きな街角を印象派みたいにさ
淡く滲んで歩いてさ
ぶらぶら揺らす手をさ
誰かにうまく掴まれてさ
優しく抱き寄せられてさ
その胸の中に淡く滲みながらさ
乱視なナンシーはさ
それはそれでさ
恋に落ちるのさ
映画のワンシーンよりさ
1枚の印象派みたいにさ
淡く甘い恋にさ
滲んでぼやけて落ちるのさ



自由詩 乱視なナンシー Copyright 末下りょう 2014-03-14 07:48:12
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